採用です

14/14
前へ
/174ページ
次へ
「三上さんが私を気にかけてくれるメリット、現状、なさすぎですよ。さんざん費用対効果って言ってた人が。いいんですか?ホント、鬼三上が甘いこと言うなんて、意外すぎます」 「鬼三上って。人の顔見るたび、黒歴史を思い出すって言われ続けてるこっちの身にもなれ」 昔よく怒られるときに見た難しい顔。 でも今日は目つきが違う、優しい眼差しだ。 「私のかつての黒歴史、だいぶ霞んできたような気がしてるんですよね。今の状況が闇歴史なんで」 「黒の次は闇って。あんなこと聞かされた後に、全然笑えないんだけど」 その後も下らない昔話をずっと続けていたと思う。 だいたいが三上さんに怒られた話だったけど。 二人でこんなに長く喋ったのって、初めてじゃないかな。 三上さんは優しかった、とっても。 こんな面もあるんだなって、新しい発見。 私はさすがに眠くなってきて、ウトウトし始めてしまう。 抱き上げられて、ベットに移される。 その夜は三上さんの腕の中に仕舞いこまれるように、抱きしめられて眠った。悪夢にうなされることもなく、久しぶりに深く眠ることが出来た。 こんな風に眠れたのなんて、いつ以来だったろう? 優しい香りとぬくもり。 私はとても居心地がよかった。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

96人が本棚に入れています
本棚に追加