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「三上さんが私を気にかけてくれるメリット、現状、なさすぎですよ。さんざん費用対効果って言ってた人が。いいんですか?ホント、鬼三上が甘いこと言うなんて、意外すぎます」
「鬼三上って。人の顔見るたび、黒歴史を思い出すって言われ続けてるこっちの身にもなれ」
昔よく怒られるときに見た難しい顔。
でも今日は目つきが違う、優しい眼差しだ。
「私のかつての黒歴史、だいぶ霞んできたような気がしてるんですよね。今の状況が闇歴史なんで」
「黒の次は闇って。あんなこと聞かされた後に、全然笑えないんだけど」
その後も下らない昔話をずっと続けていたと思う。
だいたいが三上さんに怒られた話だったけど。
二人でこんなに長く喋ったのって、初めてじゃないかな。
三上さんは優しかった、とっても。
こんな面もあるんだなって、新しい発見。
私はさすがに眠くなってきて、ウトウトし始めてしまう。
抱き上げられて、ベットに移される。
その夜は三上さんの腕の中に仕舞いこまれるように、抱きしめられて眠った。悪夢にうなされることもなく、久しぶりに深く眠ることが出来た。
こんな風に眠れたのなんて、いつ以来だったろう?
優しい香りとぬくもり。
私はとても居心地がよかった。
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