お土産は明太子

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何度も電話をしてみた。メールの返信もない。 昼に連絡を入れた時はすぐに返信がきたのに。 部屋に来ているのかと思ったら、いない。 でも来てはいたと思う。多少の荷物も置いてあるし。 じゃぁ、なんで今日、来ない? 会社の電話にも出ない。 高橋さんにも連絡してみた。 「この前の歓迎会のあとは上手くいった?」 そんな呑気な軽口に付き合いきれなくて、用件を先に質す。 「橋本さん、帰った?」 「今日、ほぼ定時だったと思うけど」 「早速、喧嘩でもしたの?」 「いや。急ぐから、また連絡する」 もう9時だぞ。どこにいる? ちょっと胸騒ぎがしてくる。 「もしもし」 「まだ何か?」 「橋本さんの住んでるところ、教えて」 「個人情報」 「悪用しない。約束する。連絡がとれなくて」 少しの間があった。焦る気持ちを抑える。 「これ、友達として教えるだけだから」 高橋さんから教えてもらった住所。 タクシーを使って早速行ってみる。 道路側から部屋の見当をつける。 明かりはついていない。 杏、どこにいる?
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