お土産は明太子

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廊下を隣の部屋の人が訝し気に通り過ぎる。 こちらの様子を伺う感じだ。 「何かありましたか?」 その人は自分の部屋の鍵を開ける前に、来た所を戻り、扉の隙間から彼女に直接声をかけた。 よほど、俺が不審者に見えたらしい。 「知人です。今、ドアを開けるところで。」 橋本さんは諦めたのか、いったんドアをしめ、ドアクローザーを外して玄関の扉を開け直す。 「ご心配かけてスミマセン」 彼女は隣人の大学生くらいのがっちりした感じの男性に頭を下げる。 安心したらしい学生は、俺にも会釈して自分の部屋に再び向かう。 「入りますか?」 「玄関でいい。すぐ帰るから」 正面から彼女を見る。 顔色は悪いけど、変わった様子はないか? 彼女の視線が足元に移動した。彼女の視線を追う。 折れたヒール。 「ちょっと走ったらひどくこけちゃって。また落ち着いたら連絡するんで」 でも、いつもと明らかに様子がおかしい。 「その羽織ってるの、脱いでみて」
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