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2、俺の可愛い玩具② ※
それを…隠して隠して頑張ってきたのに、うっかり気を許してしまったばかりに、シェスに俺が男だということがバレてしまった。
「俺に隙を見せたお前が悪い」
「…」
その日からシェスの態度が一変した。
まず、俺を脅しにかかってきた。言うことを聞かなければ俺の身の上を言いふらすと言ってきたんだ。出来るわけがないって無視することも出来たけど、せっかくの居場所を手放したくなかったし、噂が流されたら殺される可能性だってあった。
「もう俺のことを解放してよ…」
「嫌だね。こんな面白いこと手放してやるもんか。それに…身体の相性もいいみたいだし?」
「…っ」
脅して俺に求めたのは、身体の関係だった。男と知ってなお抱こうとするなんて狂ってるにもほどがある。ただただ、「面白そう」という理由で俺を抱いたんだ。もちろん俺はものすごく抵抗したけど…結局組み敷かれてしまった。今でもあの日のことを思いだすと、ぞわりと嫌なものが背中を駆け上がる。
「アイルは真面目だよな。理由なんて考えなくていいだろ。快楽に負けて俺にすがることもあるくせに、変なところで理性的なんだよな」
「…っ耳元で喋るな!」
「暴れんなよ。…まだ夜は長いんだから」
「離せっ」
そっと耳を食まれ、ふるりと身体が震える。嫌だ。嫌だ。頭では拒絶したいのに、身体が言うことをきかない。
「楽しめばいいのに」
そう言って、シェスが俺の下腹部に手を伸ばす。さきほどまで事を成していたというのに、盛りすぎじゃないだろうか。
「騎士の風上にも置けない奴だな…!」
「アイルも『巫女様』とは思えない淫乱っぷりだと思うけどなぁ」
ちろり、と首筋を舌で辿られ、身体をまさぐられていく。身をよじっても、簡単に抑え込まれてしまう。
「…じっとしてろ」
振り返らなくても、シェスがにやっと妖しく微笑んだことが分かった。そして、くるりと反転させられ、柔く唇をついばまれる。息を取り込もうと口をうっすら開くと、舌が差し込まれてしまう。
「んん…ふ…っ、あ…」
「…は、気持ちよさそうだな?」
「気持ちよくなんて…っ」
「嘘つき」
シェスはキスが上手い。まるで麻薬のように俺の意識を持っていく。抵抗したいのにできなくなる。
キスに翻弄されていると、不意に昂りを撫でられ、ひゅっと息をのんだ。
「ひ、あぁ…っ!やっ、やめ…ふあっ」
「ああ、ほら、もうこんなになってる。ぐちょぐちょだなぁ。音聞こえる?『巫女様』」
「やだ、やめ…っ」
「拒否しちゃダメだろ、アイル」
そっと耳元に吐息がかかる。
「…周りにバラしてもいいのか?」
「あ…、そ、れは…」
「嫌だろ? じゃあ大人しくしてろ」
「うう…っ」
覚悟を決め、ぐっと愛撫に耐えていると、後孔に指が差し込まれた。一本、二本と数が増えていく。今日はもう二度目だからか、それらはすんなりと飲み込まれていった。
そして、性急に足を抱えられ、衝撃と共にシェスの昂りが入り込んでくる。
「い…っ、あ、」
「アイル、もう少し緩めろよ。そんなに欲しかったのか?」
ゆるゆるとした動きから、徐々に速度を増していき、ぐちゅりぐちゅりと、先ほどまでの行為の名残が音を立てる。
「…ぅあっ!…ん…っ、ひあああっ」
「…は、」
前立腺を巻き込みながらぐっと奥に腰を押し付けられ、少し薄くなった欲を吐き出させられる。ああ、熱い。また、中に出された。何度やってもこの行為は慣れない。慣れては、いけない。そう、思ってるのに。
**
「さ、てと。じゃあ俺は夜間の見回りにでも行ってくるかな。……ゆっくり寝ていてくださいね、『巫女様』」
わざとらしく猫なで声で囁かれ、布団をかばりと被って無視をした。そんなささやかな抵抗しか出来ない自分が悔しい。
くつくつと笑う声が聞こえ、扉が閉まる音が部屋の中に響いた。
一番救えないのは、こんな最低な奴に心奪われてる、この俺だ。
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