静音さん、今度はマフラー案件ですか…

4_おや！？二人でお見えですね！！一安心です！

　徹を呼び出した翌日、俺と静音は朝から交番で仕事をしている。
　フラワー皆城は本日定休日なので、調査のお礼という事で静音が手伝ってくれている。調査がなくてもフラワー皆城の休みの日には手伝ってくれているので、普段と変わらない気がする。殺風景な派出所が多い中リースや生け花等、この町の派出所が華やかなのは静音が出入りしているのが大きいだろう。……本当は外部の人間を出入りさせては駄目なんだけど。
　一息入れるために静音が淹れてくれたハーブティーを飲みながら、昨日の結果がどうなったのか考える。

「静音ちゃん！明君！ありがと～！！」
　入口に目を向けると考えていた当人の千絵ちゃんと徹が手をつないで幸せそうな顔をして入ってきた。徹の首には昨日返したマフラーが巻かれていてちゃんと話をしたようだ。静音は千絵ちゃんの元にかけていって両手を取って踊っている。
　若いカップルが幸せそうな顔をしているので、人生の先達として何かお祝いを上げたくなって頭の中で何かないか検索する。前にスーパーの福引で当たった映画の無料券があったので、デスクから取り出して二人に渡すと喜んだ。
「明君たちはいつ行くの？」
　と可愛く小首を傾げながら千絵ちゃんが聞いてくる。行く予定がないというと二人が驚いた顔をして問題発言をする。
「「ぇ？ダブルデートのお誘いじゃないの？？」」
「「付き合ってないけど！！？」」
　カップル同士でハモっての会話になってしまった。どこをどうしたら俺たちが付き合っている事になるのだろうか。徹なんて昨日のあの惨状を見ただろう！
　ひとしきり青春成分溢れる会話をして、甘酸っぱい雰囲気満載のカップルは帰って行った。
　そんな会話をしたせいか自分の青春時代に思いを馳せたが、なぜか思い浮かんだイメージは拳が襲ってくる物ばかりですぐに止めた。……俺、文化部に入ってたはずなんだけど。

　年末にパンクしないように仕事を進めていたら、普段の10倍増しで電話がかかってきた。数回出た後で静音に電話をお願いした。
　静音にかかってきた電話の内訳を聞いたら次の割合でかかった来たとの事。

　・8割が付き合ってないというガセを聞いたという話
　・1割がいつ別れたのかという話
　・1割がいつの間に結婚したのかという話
　・仕事の話は0件

　ちなみに俺が取った電話も8割の理由だった。住人全員からかかってきたんじゃないかと感じる量で、さすがに静音もぐったりしてたので、奥の部屋で寝るように言った。
　一体この町の住人は何を見てそんな勘違いをするのだろうか？

　後1時間して起きなかったら静音の部屋まで背負って連れて帰ろうと考えながら、仕事を片付けていく。