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二人きりの空間
店長の車で高島さんを車に押し入れ、そのまま、慣れない道をいく。
新宿から30分ほど車で走らせたマンションで、下ろされた。
ぐったりとしている高島さんを店長が抱え込んで、私が荷物を持っていた。
なんでこんなことになったんだろう。
挨拶して、お別れの言葉で終わる関係だったのに。
店長は私を振り返って私の不安げな顔を見て柔らかく微笑えむ。
「大丈夫だよ。さすがのこいつもこんな状態で襲わないから」
「あ、いえ、あはは」
高島さんなら襲いそうとは言えない。
とはいえ、本当に具合悪そう。
店長を押し除けそうとしてるけど力が入らないみたい。
そんな状態でお店に来たんだ。
なんで?
巡る気持ちを抑えながら、店長は手慣れた手つきで、マンションのカードで部屋に入る。
カードキーも店長が持ってるみたい。
本当に仲がいいのね。
ってか、友人でも鍵もつ?
「着いたよ」
部屋の中は思ったより、綺麗だった。
無機質な色で統一されて、たまにある木質の小物がオシャレ。
やだな。
素敵じゃん。
「んじゃ、俺はお店に戻るね。
この家のものは好きに使っていいよ。
一応、なんでも揃えてるから」
「詳しいんですね」
「ああ、聞いてなかった?
俺たちルームシェアしてるから俺の部屋はあっち。
覗かないでね」
「覗かないですよ!」
店長の微笑みの裏のプライベート空間。
気になるけど、今はそれどころじゃない。
店長は本当に部屋を出て行った。
仕事あるし仕方ないけど、
どうしたらいいの!?
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