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「お湯を少しだけ注いで30秒蒸してください」
「蒸す?」
「んーー。
少しお湯を注いだら待てば良いだけです。
そうです。
それからお湯を注いでくださいね」
ジョーと、なんだか間抜けな音がして、
何も言わない先生が少しだけ怖い。
「ふふ。
そんな怯えなくても取ってくったりしませんよ」
「はぁ」
2人分のコーヒーを入れると、面談コーナーに席を移した。
「最近ぼんやりしたり、締め切り間違えたりとなかなか落ち着きませんが何かありましたか?」
「あの、いえ、特にありません」
自分でも集中してないのはわかってる。
それがダメなことも。
「未奈さんは院に進みたいんですよね?」
「はい。
そのつもりです」
「本当に院に行きたい?」
「え?」
「今のままじゃ、院に行っでただ通ってるだけで何も身につかないですよ。院まで行くからには絵筆で、仕事とらないと。
そこまでの気負いがあるようには見えませんが」
痛い。
本当にその通りだ。
でも、どうしたらいいんだろう。
何もかも手につかない。
「先生、えーーと。
あの、なんていうんだろ。
絵の質問じゃないんですが聞いていいですか?」
「もちろん良いですよ」
先生の笑顔が逆に話しにくい。
でも、私の頭もパンクしてしまって、何をすればいいのかさえわからない。
「先生に相談していい内容かわからないんですが」
「はは。
もったいぶるなー。恋バナとか?」
「え?」
「ん?」
先生と目が合う。
どう伝えよう。
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