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ただのオーバーヒート
ただの、オーバーヒート。
今ならぼくは、その状況を冷静に評価することができるけど、そのときはほんとうに、ぼくが幼かったときだし、それにやっぱり、愛にも似た感情に支配されていたのかもしれない。
ただのなにも映らなくなった電子ポスターの前で、わんわんと泣きわめく子どもを見たら、いったいどうしたことだろうと不思議に思うだろう。でも、そのときのぼくの説明を受けたほうが、ますます理解に苦しむことになってしまっただろう。
とにかくぼくは、その場所でしばらくひとり泣いて、お兄ちゃんとの別れを惜しんだ。それからしばらくして、少しあたたかいような雪が降ってきたので、家にとぼとぼと帰っていったんだ。
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