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「対比効果の一環ではないかと思う。スイカに塩をかけたりするアレだよ」
「ああ、塩スイーツ的なものですね」
「そう、それだ。このマフの実は口の中に不快感、あるいは違和感と言った物を感じさせる効果がある。いわば雑味だ。この雑味を少量混ぜる事が、料理の味を際立たせることになっているのではないかと思うのだ」
「雑味……ですか。酒類では取り除かなければならない味ですよね」
「うむ。だから、これはあくまで仮の呼び名だ。実際、世間でいうところの雑味とこのマフの実の醸し出す味が同類の物かどうかはこれから調べていくのだからね」
博士の言葉に助手は頷いた。
「デグニ族の食事にも同席させて貰ったがね、彼らが食べているのは、味気の無い料理ばかりだった。イモを似ただけとか、魚をそのまま火に放り込んだだけとかだ」
それが、マフの実を少量同時に食べるだけで、劇的に味が変わったのだ。
「魚の塩味やイモの甘味という物を確かに感じたのだ」
「素晴らしい発見じゃないですか。薄ぼんやりとした味の物でも、これがあれば極上の味わいに変わるんですから」
「そうとも。米の甘味、イワシの味、全てが感動ものに変わるのだよ」
「素晴らしい発見です。早速商品化すべきですよ博士」
助手は強い口調でそう言った。なぜならば、この感動をより多くの人に与えたいと思ったからだ。
博士も助手が珍しくやる気なのを嬉しく思い、早速製造業者の選定を行い、知り合いのマスコミ関係者に声をかけた。
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