世にも珍しい不幸な男

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 一人の美女を巡って二人の強者が争う。  小説ではよく語られることです。  或る村でも美しい娘をものにしようと二人の力自慢の男が争っていました。  恋の鞘当てを起こした娘の名は民子と言って或る日、恋敵同士の次郎と英二に向かってこう持ち掛けました。 「相撲を取って勝った方に私をあげるわ。」  すると、二人は望むところだと意気込んで体力に物を言わせ、あっという間に空き地に土俵を造りました。  それから次郎は友人の俊介を行司にするべく呼んで来て英二と共に裸になって廻しを締めました。  二人とも容貌魁偉で全く以て精悍なものです。
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