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そう。 5年の年月が経っても、その顔は忘れることは無かった。 少し老けてはいるものの、明らかにアタシの父さんと母さんだ。 「……!?も、もしや、あなたはネネカ!?」 杖をほっぽり出し、魔物部隊の攻撃を難なくかわすと女性ーーー母さんは、アタシのもとへとダッシュで駆け寄ってきた。 「あぁー…やっぱりネネカだわー…。無事で良かった…!!怖かったでしょう、5年も魔王城に監禁されて。 父さんと母さんはねぇ、ネネカが消えた5年前のあの日に、魔王がネネカを連れ去ったっていう噂を聞いてねぇ。どうやら目撃者がいたとかどうとか。それで、ネネカを助けよう!ってことで、この5年間、ずーっと戦いの修行に一心不乱でのぞんでいたの。魔王城に侵入して、ネネカを助け出すためにね!」 そう言いながら、母さんは娘に会えた喜びで泣き崩れている。父さんは目を細めて微笑み、言った。 「ネネカ。うちに帰ろう。いっぱい抱きしめてあげるよ。欲しいもの、なんだってあげるから。ほら、よーくその可愛い顔を見せておくれ」 「フンッ」 なによこのクソジジイ。5年前とアタシへの扱いが変わってないじゃない。アタシがいつまでも10歳だと思ってんの?ていうか10歳相手でもこのセリフはキモイったらありゃしないわ。 アタシはパチンと指を鳴らすと、父さんと母さんをビシッと指差して魔物部隊達に言った。 「こいつらを捕らえなさい!!」 「!?」 「ネ、ネネカ…!?」 「え、いいんですか…?だってこの2人、ネネカ様のご両親では…」 「あーん、もうぅっ!結婚式のたった3日前に、こんな屈辱を味わうことになるとはね!冗談じゃないわ、もうこんなヤツらアタシの親とは認めない…すぐに捕らえて処刑よ処刑!!」 「しょ、処刑!?どうしたんだネネカ、洗脳でもされたのか!?」 「いいや、天使のように優しく愛らしい、可憐で純粋なネネカがそんなことされるはずないわ…きっと魔王の呪いよ!魔王に勝手に操られているんだわ、ネネカ!目を覚ましなさい!」 父さんと母さんは顔面蒼白で慌てふためいている。ううーっ、こんなクソ親の姿をまわりに晒すなんて!とんだ恥だわ…! アタシは怒りに身を任せ、今までにないほどに声を荒らげた。 「うるっさいわねぇ!呪いなんかじゃないわよっ、もう喋んな…」 「どうしたのだ」 「ひっ!?…ま、まさか……」 アタシに父さんや母さん、魔物部隊までもが凍りついた。 こ、この声は。
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