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01 転校生は死神
命とは……人間だけが持っているものではない。お前たちが恐れし魔物も…妖怪も…神格化している天使共も含め、脈打つ心臓を持つものは皆あるものだ!
そしてそれは決して、他の侵害を受けていい権限はない。
なのにお前たちは……なぜ、淘汰しようなどと考えた……!罪無き命すら滅しようというお前たちは……生かしてはおけない!
「本当にいいのか…同胞を敵に回しても。」
「俺が相手をするのは同胞だけではない…同胞を生み出した世界そのものだ。」
黒和服の剣客の横で、俺は街を見下ろしていた。この街には古くより〈妖魔〉と呼ばれし見えざる脅威が存在していた。
封印期限は腕利きの霊能力者共が術を行使してもせいぜい百年余りといったところだ。
そして、今まさにその百年の封が切られ、この街にはおよそ百五十あまりの〈妖魔〉が存在していた。
俺は妖魔でもなければ、民に救いの手を伸べる天使や神々ではない……いや、神と呼ばれた者だったな。
俺はかつて横にいる剣客と二回ほど剣を交えたが、俺が天の者として仕えていたのはその辺りが最後だろう。
「お前は何がしたい……一度我の心臓を叩き割ったお前が、そうまでして望む物事とは何なのだ?」
「第一に……復讐などではない。俺はこの街を試してやろうと思うのだ。」
「試す……何をだ?」
「かつてお前が人間たちにしたように、徹底的に生命を削り取り、そこから再興していけるかどうかをこの目で見ようと思うんだ。」
「ハハハハッ、それは大変面白いことだな……アレイズ。是非とも我に背中を預けてはみないか?」
「俺の天の翼をもいだお前に背中を預ける?いいだろう……使えるものはみな使うさ。無論、お前もな…光長よ。」
「剣を振れるならどう使われようが構わんよ。我の生業は惨殺にあるからなぁ。」
思えばこいつとは不思議な縁で結ばれている。堕天したあの日から、俺たちは〈盟友の契り〉を交わした仲だ。
惨殺王と恐れ崇められしお前の力……俺の願望のための糧としてやろう。
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