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―その後、3-C教室―
始業式が終わって、それぞれのクラスが発表された後、私と花菜ちゃんは自分のクラスに行くことにした。
今年は二人とも同じクラスだった。中学二年生以来だな。
教室は、転校生の話で持ちきりだった。正直私はもう知ってるから……あまり話題には乗れないかも。
「おーしお前ら席つけぇ…このクラスに転校してくる奴を紹介する。入ってこい!」
ガララ……
「あ、え~と……初めまして、黒影零って言います……よろしく。」
あ、今朝私が助けてあげた子だ。あの時はあまりよく見えなかったけど、黒い髪に緑の目……すごく整った顔立ちだなぁ。
どこから来たんだろう?
零くんが自己紹介をして、ペコリと一礼すると、その途端にクラス中が黄色い声や大歓声やらで一気に盛り上がった。
「黙れぇぁ!……零、席は伊咲の横だぞ。」
「あ、はい……分かりました。」
ガタッ
「あ、さっきの女の子……今朝はありがとう。」
「い、いえ……私、困ってる人を見過ごせなくって。」
「優しい人なんだね、君は。」
私は裏表のない零くんのその一言に思わずドキッとした。それと同時に、それまでは冷たかった肌が急に熱くなってきた。
「おっ、何だ何だぁ…千春、お前もう零の奴にときめいちゃったのか?」
「そ、そそそそ、そんなこと……ないよ!」
「あ、えっと…千春…さん……後でこの学校を案内してほしいんだけど、いいかな?」
「えっ、あっ、ああ……うん、いいよ。」
フフーン……これは面白そうな一年になりそうだなぁ。
―妖魔の国―
『良いかお前たち、今こそ我らは立ち上がらねばならん!平穏に浸る愚かな人間共を根絶やしにするのだぁ!』
「「おおーーっ!」」
妖魔の王・灼焔羅は、本のような形をした〈封印の扉〉をその炎に覆われた爪で切り裂き、抉じ開けた。
『手始めに……猪口よ、人暴れしてくるがいい!』
「ブモォォ!許可していただき、光栄です……焔羅様。」
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