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―その頃、零たちは―
!?……今、一瞬だけど僕の脳に何かこう…ピリッときた。まるで…僕に何かやらなきゃいけないことがあるって教えてくれてるような感じがする。
僕は結局、それが何なのかも分からないまま千春さんを置いて一人、廊下を駆け抜けた。
これだけは分かった……誰かが危ない!
『やぁ、久しぶりだねぇ……今の君からすればボクは何者って感じだろうけど、よく聞きたまえよ。』
僕の肩に何か黒い毛玉みたいなのが乗っかっていた。毛玉……というかは、ものすごく小さい子猫って感じだった。
『この先にあるデカい建物で〈妖魔〉ってヤツが暴れてる。しかも運の悪いことに、今回はもう手遅れみたいなんだ。』
「て、手遅れって……もうみんなは助からないの!?」
『助からないって決まったわけでもないんだよなぁ。そこで、君に眠る〈力〉の出番だ。』
力……記憶喪失の僕に、今この先で起きてる手遅れな状況を打開する策があるってこと!?
もし、この子猫の言うことを信じるなら……いや、信じるしかない!
手遅れな状況を聞いた以上、後に引けないのは目に見えてるはずなんだ!それに……誰かが動かない限りもっと取り返しがつかなくなる!
「……僕にどんな力があるかなんか分からない!だけど、もし本当に力があるのなら今すぐその力を使わせて!」
僕は右手を強く握った。内心では怯えていても、体は本能的に事を解決したがってる。
『いい返事だねぇ…よぉし分かった、君に眠る力の発動法を伝授しよう。“霊魂断離”……そう唱えろ。じゃ、あとは君の頑張り次第だぞ!』
そう言い残して、黒猫もどきは消えた。僕は走ってたこともあって息が上がってたから心の中で霊魂断離と唱えた。
さあ、体育館はもう目の前だ!
―体育館―
何て奴だ……アタシの攻撃がちっとも効いてない!?なんでよ……
「当たれええええええ!」ヒュン
どこからか飛んできた鎌は、猪口の頬にかすり傷をつけた。
「はぁ……はぁ……助けに来たよ、花菜さん!」
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