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音なく夜の訪れは薄青から紺藍の階調で
あ、といふ間のことあれば時の合間をかけて
辺りを塗り変へて行く
砂の山々は平らかになり思ひを削ぎまたあ、と
いふところに山を積上げさらりサラリとその
先から天辺は音なく宙に飛び散らされ僅かな風の動きをうけて次から次へと形をかへては
闇夜に蠢ひて夜帳の開くのを待っていた
様々な涙の結晶は闇の合間風に晒されまたこまかくぶつなかりあって粉々に
砂の粒にも一掴みにも姿をかへて吹き上がり
山肌の砂肌の上をさぁさぁと崩落しはじめてはやはり降り積もって
いとも簡単に節々で千切れた身体のうへ
走る砂の眼はさらに身体の片を千切りとっては砂の量を増やし
また涙の結晶を積上げては崩落させ
終へることをしらずまたしても見果てぬ最果てに自身の彷徨う縄張を広げては侵食し征く
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