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珍しく雨が降るそれを溜め置く水脈は地下の深いところに流れている
それでなくとも溜まった水
時に渇き切った砂の海の合間に切り出され泉は微か息づく生命の憩を表す
滲み出る水溜に長い吸い口を差しそれを吸い取れたのは恵まれた子どもたち
たまたま砂漠へ迷い込み生きも生きて干からびる
寸前に吸い口に辿りついた者たち
砂は大きな山となり強い風には覆い被さり迷い子など埋めてしまう
燃えてざらついた肌に与う水滴だけで生き抜いた者も息を殺して目を閉じ丸まって耐えた後ひと吹きの砂の嵐に巻き込んで行かれることもしばしば
淘汰された者の一画に掃き寄せられる
まるで乾いた丸太のように
目は閉じていることも開いていることも
やけに大きな目の球は異様
見つめる死骸見つめる風見つめるのは自らを削り奪い落す砂の集積か
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