居なくなってしまえ

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居なくなってしまえ

「居なくなっちゃえ」 そう言った。 いじめっ子も、先生も、パパも、ママも、君ですらも。 要らない。 要らないんだ。 僕の世界から居なくなってしまえ。 僕が思っていたようにしてくれなかった。 自分勝手だと怒鳴られた。 ムカつくからといじめられた。 お前が悪いと取り合わなかった。 お前の教育が悪いんだと言っていた。 あんたの遺伝子が悪いんだと言っていた。 どうして最終的に僕が責められなくちゃいけないの。 どうせ君だってそう思ってるんだろう? 変わり者。 自己中。 嫌な奴。 僕にはわかるよ。 君の目がそう言ってるからね。 僕を愛さない人は要らない。 愛してくれない君なんて僕には要らない。 皆、皆 「居なくなってしまえ!」 頭がボーッとする 瞼が重い。 純白が目に痛い。 何の音もしない。 何も無い。 自分が立ってるのか寝ているのかすらあやふやになるほど真っ白で、自分の肌が色濃く見える。 誰も居ない。 僕の願いが叶った。 皆居なくなった。 もう誰も僕を責めたりしない。 最高の世界だ。 僕だけの世界。 目が慣れてきた。 自分の肌も白に馴染んできた。 白くなっていく。 白く、白に、白い。 消えてる。 動けない。 動いてるのかもしれない。 わからない。 意識が途切れとぎれになっていく。 目がかすむ。 僕もシロになっていく。 いやだ。 まだ、まだきみに。 言ってないんだ。 ボク、ほんとうはぼく________________ 貴方が居ない。 日常はいつもと変わらない。 皆に言っても知らないって。 確かに貴方が居た筈なのに。 貴方に渡そうとしていた物はずっと私の手の中に。 貴方を待っている。 ずっと好きだった貴方。 貴方。 貴方 あなた あなた? あなたって誰?
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