息占い

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息占い

タタン・・ガタン・・タタン・・ダタン・・・・ 頭の上を電車が走り去った。 昼は外を歩くとスーツのジャケットを脱ぐぐらい暑いのに、 夕方を過ぎるとかなり冷え込む。 会社を出て、右腕にかけていたジャケットを羽織りながら、 短いトンネルを抜けた。 もう少し歩けば地下鉄の駅がありそこからいつも僕は帰る。 でも今日は土曜日で、少し飲んで帰りたい気持ちが疲れより勝り、 いつもの飲み屋の方へと足を向かわせた。 その店がある飲み屋街へ行く道で、必ず通る大きなアーケード。 いつもはあまり気にならないが、疲れがたまっているせいか人が多い道を通りたくない。 僕はアーケードから離れ、あまり歩いた事のない細い道を通り、飲み屋街の方向へ歩いた。 その道はいわば大人の男が行く店が並び、それぞれの店の黒子が声をかけていた。 「お兄さん、今からは何ですか?キャバですか?」 「とりあえず一度止まって話聞いて下さいよ」 「お兄さん、おっぱいどうですか?可愛い子いますよ」 歩く度、違う黒子が話かけてくる。これならアーケードを通った方がマシだったなと思いながら、 「今から仕事なんで」と断っていく。 スーツを着ているしこれが、一番黒子が諦めてくれる言葉だと知っていた。 大人の道が終わり、何となく目的地の方向へ曲がると地上に立つ 紫色のネオン看板が目に入りこんできた。 「息占い」
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