俺たちの望むストーリーへ

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「もう勝手にして」  どうせ夢だし。俺は夢の中で眠ることにしたのだ。こんな馬鹿な話より、明日の作業のために少し休みたい。そうやって寝た結果ーー  白紙の原稿が残されていたのだ。31枚ある原稿、その総てが真っ白になっている。 「ああ、もう。どうしよう」  これからやってくるアシスタントに何と説明すればいいのか。それより、受け取りに来る担当に何と言えばいいのか。俺は頭を抱えるしかない。 「うおっ」  そこにいきなり電話が鳴って、俺は文字通り飛び上がった。出てみると例の担当だ。 「な、何ですか?」 「なんですか、じゃないよ!今回の原稿、ネームから大幅に変わってたけど、いい内容じゃん!!」 「え?」  俺は耳を疑った。だって、今回の原稿はこの通り白紙で…… 「これ、十話くらいにまとまりますかね?いや、人気が出るだろうなぁ。あ、早速明日にでも打ち合わせしましょう!」  担当は一方的に盛り上がると、勝手に電話を切ってしまった。ええっと、まさか本当にあの展開になった原稿が出来上がったのか。俺は青くなったり赤くなったりして悶える。  その後、やって来たアシスタントたちに仕事は終わっちゃたと告げ、翌日に担当と会ってみると 「マジかよ」  そこにはとても自分で描いたとは思えない、あの主人公たちの密会によって出来た内容の初めの部分が描かれていた。
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