俺たちの望むストーリーへ

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「あいつら、こう描いて欲しがってたなんて」  俺は思わずぽつりと呟くと、担当は不思議そうな顔をしていた。が、あんな夢について言えるはずもなく 「今後の展開ですけど」  あの時、トムトムたちが、いやトーマス・ドメーヌたちが考えた内容を、俺は担当に向けて熱く語ったのだった。  その後、漫画は万年最下位の人気を挽回し、見事に人間ドラマのある冒険漫画としての地位を確立した。あの日、適当に修行シーンを描いて誤魔化そうとした俺は、キャラたちに諭されてしまったことになる。  これでは駄目だ。もっとリアリティを!もっとキャラに愛着を!! 「いやはや、これからはもっと、大事に描いてやろう」  そう俺が決意したのは、言うまでもなかった。
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