死を見ゆる神

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 叫びながら山を駆け下りた。  喉など嗄れてしまえ。  気など狂ってしまえ。  神など死んでしまえ。  喉が痛い。体が熱い。足がもげそうだ。  わたしは確かにツノガミの死を望んだ。  けれども、竜胆の死を望んでいたわけではなかった。  独りで帰る道は、行きよりずっとはやい。
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