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黒い追跡者②
上願は岩陰に身を潜ませた。
(足音が聞こえる。敵はどうやら俺たちがここに潜入したことはもろ分かり、レーダーで追ってきているな。さてどうする?‥)
上願は電子ガンを構え、上空に向けて打った。
「奴らはあの辺りだ。」
(10人のうちのリーダーだろうか。
しかし、聞き覚えのある声だ。)
上願の電子ホーンは微妙な声を聞き取った。
(よし、前に出るか。)
上願は電子ガンを構え、霧の中を滑走した。
「打て!」
武装した集団が一斉に襲いかかった。
上願は冷静にガンを連射した。
「うぎゃー。」
「うゲェー。」
断末魔の声が広がった。
「出てこい。灰原剛。お前か。」
霧の中から武装した男が姿を現した。
男はヘルメットを外した。
「久しぶりだな、上願。灰原だ。お前が堕落したのはカモフラージュだったのか?腕前は昔と変わってないな」
灰原と名乗った男が鋭い視線を放った。
「灰原、なぜアース教団に入った?25年前捜査情報局のエリートとして期待されたお前が、なぜだ?どうしてだ?」
「その言葉、そっくり返してやる。上願、きさまなぜ今も捜査情報局の犬をやってる?俺たちは局にとってただの捨て駒じゃないのか?
25年前の日本時空光学研究所のテロ事件で俺たちは処分を受けた。
おれはその時思ったよ。被害を最小限に抑えるため行動したのにこの仕打ちはと。
だったら、やる側にまわれとな!」
「灰原、お前は間違ってる。俺たちはベストを尽くしたんだ。見返りじゃない。」
「じゃあ聞くが、お前の今の有り様はベストを尽くしてるといえるのか?」
「うう‥それは」
上願は言葉に詰まった。
「きさまの言ってることは詭弁だ。死ね!」
灰原は電子ガンを上願に向けて放った。
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