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黒い陰謀①
「僕が捜査情報局から潜入メンバーに加わることが決まってその日のことです。
自宅にアース教団の黒川と名乗る男から連絡が入りました。
そして娘の蘭の手術と入院費用を出すかわりに指示通りに動けという内容でした。
一旦断ったのですが、向こうはとりあえず前金を送ると言って一方的に連絡を切られました。
それで翌日確認したらほんとに手付金が入金されてました。
僕は悩みました。この仕事をなんとかこなせばお金が入るし娘は助かるかもしれないと。嫁は娘を産んだ後体調を悪化して亡くなりました。
僕には娘だけがかけがえのない家族だったんです。許してください。」
折口は座り込み泣きじゃくった。
「折口さん、わかったわ。頭を上げて。」
夕子はうなだれる折口を諭した。
「折口、その黒川ってやつはこんな顔じゃなかったか?」
上願は折口に一枚の写真データーを見せる。
「はい、そうです。」
そこには先ほど対峙した灰原の顔が写っていた。
「上願さん、これどういうこと?」
「指揮官、奴等は随分前から海西市に潜伏して活動をしてたってことだ。」
「すると、私たちの動きは完全に筒抜けだった。」
夕子は誰にとなく問い返す。
「それだけじゃない。やつらは捜査管理局や情報局、いや防衛局まで既に入り込んでるかもしれない」
上願の額には薄らと汗が滲んでいた。
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