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☆☆☆
その日、私は高校の文化祭の準備で遅くなってしまった。
秋の日は釣瓶落としと言うが、その日はすっかり日が暮れて少し冷たい秋の風が身に染みていた。
「ヤバイな。亜沙菜に今日は早く終わるからって言っちゃったよ…」
友人の亜沙菜と今日は家で勉強会をする予定だった。
もうすぐ来る定期試験に備えて。
昨日見た都市伝説の話が頭をよぎった。
なんとなく胸騒ぎがする。
早く亜沙菜と会った方がいい気がする。
そのまましばらく歩いていると後ろから可愛らしい声がする。
「すいません、ちょっと無くしものをしまして。」
やっぱりか、と思った。
こういうことが起きるのでは無いかという予感があった。
私はゆっくりと振り返った。
そこにはやはり首から下のない女の子が立っていた。
「私の体を知りませんか〜」
私は噂なんかではなく、実在するその子の目をしっかり見据えた。
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