初めての労働

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初めての労働

「あ。あの、今日から、、、、、、、、、」  言い終わる前に、背中から聞こえて来たのは、大声を超えて怒鳴りつける様な声で突然、知らない男性に”こっちだ学生!”と言われ挨拶する間もなく頭だけ下げると、すぐさま呼び止めた男性の元に向かった。  死んだ魚の目とはよく言ったもので、三白眼の短く刈り上げられた頭男の前に立った。年季の入った作業着は洗濯された形跡は有ったがシワが多くアイロンをかけた様子はない。 「チーフ新人借りますよ!」 (アタシは物扱いか!) 「あー、じゃあ五十嵐君が暫く担当でいいよ」  答えたのは、奥で作業していたらしい老人だった。そう言えば面接の時も店長が”おじいちゃんだから優しいよ”と言っていたのを思い出した。チーフに教えて欲しかったなぁと考えていると、声を掛けられた。 「おい!聞いてるのか?学校で人の話は聞けって教わらなかったのか?」 「聞いてますよ!袋に入れればいいんですね!ほうれん草!」  そう言っていたのは聞いていた。他に入れ方を言っていた気がしたが袋に入れるだけなら子どもでも出来るわ!そう思いながら笑顔で返した、  目の前の無愛想な男が煙たかった為、返事だけして勝手に始めると男は溜息を吐いて”じゃあ一時間でな”と言い何処かに行くと、すぐさま人生初バイトの初日は始まった。
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