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一時間後。五十嵐がやって来た。内心、私はドキドキしていた。出来ていないどころか、ほうれん草は半分も袋に入っていない。
しかも、見本として置いて行かれたほうれん草は綺麗な状態のまま袋に入っている。しかし自分のほうれん草を見ると葉っぱは千切れ何とか入ってはいたがとても綺麗とは言えなかった。
「良し!お前もういいから向こういけ」
五十嵐がそう言って来た。出来てないから要らないと言う事なのだろうか、息巻いて頑張ろうとしていた自分に、冷や水を掛けられたような気分になり悔しさと焦りのまま口を開いた。
「大丈夫です出来ます!全部ちゃんとやります!」
「そうか、でも此処はいい。向こうを手伝え、開店までもう時間がない」
店が開く時間。もうそんな時間になってしまったのかと気が付くと、辺りに沢山品物を陳列していた従業員たちはもう居らず、入荷した商品を裏方の方へ皆で運んでいる様子が伺えた。
「、、、、、、、、解りました」
他の人同様に荷物を片づけようと荷物に手を掛けた瞬間声を掛けられた。残す荷物と片付ける荷物が有るらしく、勝手に持って行かないように注意された。
自分が片付けようとした荷物は、そのまま置いておく分の荷物であった。
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