84人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「……あ、髪型が似てるからじゃないですか?」
結構失礼なことを言われてるハズなのに、真剣に考えて答えてくるから苦笑いを浮かべるしかない。
しかも、まだなんか悩んでる。
「昔、人形みたいに動かなければいいのにとは言われたことはありますけど。そんな感じですか?」
「…ソレは、誰に?」
「母、ですけど?」
言われ慣れていること、か。
「いつ頃、どんな感じで言ってたか、話せるなら話して」
「ホント小さい頃の記憶なので、母がなぜそう言っていたのかは真意はわかりません」
それはぜったい言葉の意味を理解できなくても、心の傷として残ってるハズだ。
本人はあまり気にしてないようだけど、家出の原因の一つはソレじゃないだろうかと思う。
「…悪い、知らなかったこととは言え、軽率なことを言った」
「え?謝るようなこと言いました?」
キョトンとしているけど、俺の中で罪悪感が残ってる。
たぶん、この罪悪感は一緒にいる間はずっとつきまとってくる気がするな。
「できましたけど、食べます?」
「食う」
できる限り早く、手放そう。
情が移ってしまう前に。
最初のコメントを投稿しよう!