gear.3

2/7
84人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「麗衣、コレに着替えて」 松羅さんの持ってくる、いろいろな仕事に慣れてきた頃。 気づけばいつの間にか名前で呼ばれていて。 初めの頃は人形と言われていたから、そこは全然いいんだけど。 「どこか行かなければいけないのですか?」 帰って来て指示されることには慣れたけど、着替えろと言われたのは初めて。 「まぁ、そうだな。今日の仕事も簡単なものだけど、ちょっと行ってほしいところがある」 「…そうなんですか、とりあえず着替えてきます」 あたしが行かなければいけないところ? もしかして… 考えながら、使っていいと言われた部屋に入る。 松羅さんの家はいろいろなことをやっていて、箱入りだったあたしにはあまりわからない世界。 業種はきっと、ウチとは正反対なのだと思う。 弟が産まれてからは、誰もあたしに家のことを教えてはくれなかった。 そんなことを考えつつ、渡された服に着替えると… 「……ん?」 あれ?考えてることと違ってた? 「あの、松羅さん、着替えました、けど…」 「お、サイズはちょうどだったみたいだな、つなぎ」 「何か作業を?」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!