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「麗衣、コレに着替えて」
松羅さんの持ってくる、いろいろな仕事に慣れてきた頃。
気づけばいつの間にか名前で呼ばれていて。
初めの頃は人形と言われていたから、そこは全然いいんだけど。
「どこか行かなければいけないのですか?」
帰って来て指示されることには慣れたけど、着替えろと言われたのは初めて。
「まぁ、そうだな。今日の仕事も簡単なものだけど、ちょっと行ってほしいところがある」
「…そうなんですか、とりあえず着替えてきます」
あたしが行かなければいけないところ?
もしかして…
考えながら、使っていいと言われた部屋に入る。
松羅さんの家はいろいろなことをやっていて、箱入りだったあたしにはあまりわからない世界。
業種はきっと、ウチとは正反対なのだと思う。
弟が産まれてからは、誰もあたしに家のことを教えてはくれなかった。
そんなことを考えつつ、渡された服に着替えると…
「……ん?」
あれ?考えてることと違ってた?
「あの、松羅さん、着替えました、けど…」
「お、サイズはちょうどだったみたいだな、つなぎ」
「何か作業を?」
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