gear.3

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「つなぎ着るとちっちゃ」 こちらの話を全く聞かず、帽子を渡してきながらそんなことを言ってくる。 「小さくはないと思いますけど」 「んー、そういう意味じゃねぇ」 では、どんな意味なのだろう。 それを聞こうとしたら、手を引かれ歩き出すから聞けなかった。 聞いてはいけない雰囲気? 違う、そんな感じではなくて、照れてる感じというか… 連れて行かれている間、松羅さんは無言。 こんなことも珍しい。 常に何かを話してくれるヒトなのに。 初めの頃にあった、怖い印象は全くなくなっていて。 イヤ、だって、あの時は全身黒にサングラスだったし、怖くないわけがない。 だけど今は、サングラスはあの日以来かけてないし、雰囲気もそこまで怖くはない。 「車で移動、ですか?」 「少しばかり遠いところ」 ふとした時、小さく笑うからソレがわかると怖いとか感じることはない。 今も少しだけ笑って、ソレがどことなく子供っぽく見えた。 「どこと聞いたところで、ここがどこかもわからないので聞きませんけど、どんな内容のお仕事なのでしょう?」 「言ってもいいけど、行ったらのお楽しみにしようか」 なぜ内緒にされるのかわからない。
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