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「え、キョウスケ君と別れるの?」
待ち合わせの居酒屋に、先についたアタシとカナエは、座ってミナト君とやらを待っていた。
アタシは水を一口飲む。
今日のカナエは、いつもより気合いを入れてるのか、白い肩出しのニットに、花柄のスカート。ベビードールの柔らかい雰囲気に、とても合っている。
付け合わせのアタシも、一応黒のワンピースで女らしくはしている。
今日のメインはカナエだけど、友達のレベルも見られるかもしれないからね。
ミナト君の友達がイイ男だったら、別れるのにも踏ん切りがつくかもしれないし。
「昨日さ、キョウスケに一緒に住もうって言われたんだけど、即答出来なくてさ。もうその時点で終わったな。って思っちゃった」
「上手くいってたんじゃないの?」
「別に嫌いじゃないよ。でも、一緒に住むとなると違うっていうか」
「でも、別れられる?」
カナエもキョウスケの嫉妬深さを知っている。
その上で心配してるという事がわかる。
「心配してくれてありがとう。まあ、自分の事だし、何とかするよ」
「ミナト君の友達が、イイ男だといいね」
「いや、アタシは恋愛は当分パスかな。それよりも今日はカナエでしょ」
「ねえ、この格好変じゃないかな?」
「可愛い可愛い」
そんな事を喋っていると、暖簾の向こうに、二人組の男の一人が手を振っているのが見える。
「あ、来た来た」
カナエも立ち上がり、ハートを飛ばしながら手を振っている。
どっちがどっちだ?
入ってきた一人は、眼鏡をかけている。
それがミナト君だな。
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