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「彼女いるのかな?」
「いないよ。アイツ作らない主義なんだ」
ふーん。
「勉強に手が抜けないんだって。飲み会もほとんど来ないし」
「じゃ、今日来たんだったら、脈ありなんじゃない?」
「どうだろう? 今日も無理矢理連れてきたようなもんだしな。アイツ、勉強ない時はバイトばっかしてるみたいで、たまには気分転換にってさ」
「へぇー」
「忙しいやつだから、彼女になったらなったで耐えられないんじゃない? 大学以外で捕まえるの大変だし、夜はメールの返事すらしない」
前途多難じゃん。
カナエ、頑張れ。
「それに、なんか家が複雑なんだってよ。あ、オレが言ったって言わないでね」
学費免除でその上バイトばっか。おまけに家が複雑。
大変そうな男だな。
アタシだったら絶対に続かなそう。
「それだったらナオキ君の方が断然イイよね。付き合いでもこーして面倒みるなんて、エライ」
「じゃあ、彼氏と別れてオレと付き合わない?」
「えー、別れたら考える」
今日、何回目かの冗談みたいなアプローチを、アタシは笑って返した。
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