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「なんの相談してんの?」
了解も得ず、ラーメンをトレイにのせて、私の隣の席についたのは、キョウスケだった。
今日も、ブルガリブラックの香水をつけすぎじゃないのか?
というぐらいに付けている。
でも、カナエが何も言わないという事は、ただアタシが、敏感になりすぎてるだけかもしれない。
何故なら、キョウスケは別れたい、アタシの彼氏だからだ。
また席を立つタイミングを失って、思わずアタシは顔をしかめそうになる。
「キョウスケ君も昼?」
無邪気にカナエが聞く。
アタシとキョウスケの関係を、知っているから。
でも、アタシが別れたいって思ってるという事は、知らないんだろうな。言ってないし。
だから、飲み会に彼氏持ちのアタシを誘ってきたんだ。
早く言っておけばよかった。
そんなアタシの気持ちも知らず、キョウスケは能天気に、カナエへと応える。
「そう。あの教授、話が長くて遅くなっちゃってさ。あ、オレ居てもいい?」
「どうぞどうぞ」
カナエは社交的な笑顔で言う。
アタシは一緒に食べてイイだなんて、言ってないの勝手に座って、ラーメンをすすりはじめる。
「明日、エマと私で呑みに行くんだ」
「ふーん。女同士?」
「いや、私がお世話になった先輩にお礼がしたい。ってなって、私の恋のために、エマが付き合ってくれるの。借りちゃってごめんね」
「別にいいよ」
別にいいよ。って何でキョウスケが答えるんだ。
別れたい。って言うことはまだ伝えていないから、私たちはまだ恋人同士。
浮気に間違われたら困らせると思ったのか、先に言ってくれたカナエに感謝。
アタシから言っても、結局カナエに確かめる。って聞かないだろからな。
さっぱりしてるように見えて、恭介は意外と嫉妬深い。
「じゃあ、私は邪魔みたいだから、もう行くね。明日よろしくね」
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