第3章

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第3章

 同じクラスの黒田と高橋は時折恨めしそうにこちらを見ていたが、俺が目を合わせると咄嗟に目を逸らした。  午前中は白人ハーフである吉田…今の自分の事を考えていた。  吉田は見た目が白人だけど、入学した時の自己紹介で自分の生い立ちを話していたっけ……  駐日米軍の軍人である父親と宮城県出身の母親の間に生まれたと言っていたな。もちろん生まれたのも日本…確か横須賀で生れて一歳ちょっとで両親が離婚した後、母親の故郷である宮城県仙台市に引っ越してきて…  幼稚園、小学校、中学校と日本で教育を受けてきたから英語は一切話せないし読めないって言ってたな。  でも、その代わり宮城弁は話せますよって言って盛大にスベってたな。  もし俺が普通に吉田に接していたら……吉田と仲良くやれてたかな…… そもそもなんで吉田をイジメるようになったんだっけ?  ……そう、端正な顔立ちと金髪碧眼で女子にチヤホヤされてたのがムカついたんだよな。今考えるとなんでそんなことで……  こんなことばかり考えていたので、授業はすっかり上の空で、あっという間に昼休みになった。
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