prologue

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約束なんていらなかった。 どうせ、 守られない。 果たされない。 満たされない。 約束の代わりに、私の恋心を一生分あげるから、あなたがわたしを想う心は置いて行って。 心の交換。 そんなこと出来もしないのに、約束以外で彼を繋ぎとめる方法を考えていた。近くにいなくなると心が見えなくなるのではないかという恐怖すら感じていた。 近くに居たって、心なんて見えやしないのに。 そして必ず、お互いの交換した心をもとに戻すために、帰ってきて。 わたしの顔を見たら、掠れた聞き取りにくい低い声でいつもみたいに名前を呼んで。  寝ていたらおはよう、とキスをして。  屈折しているわたしはそれでも、キスしたって許さないから、と言って睨みつけて、彼の胸に飛び込んで、思いつく限りの悪態をつくんだろうけど。
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