誘拐部屋

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誘拐部屋

「よっし、着いた!!」 車が止まって、やっと僕は息をついた。 地下の駐車場に入ったから、きっとどこかのビルなんだろうけど……。 「ここは?」 「我が城へようこそ~!!ヒュ~!!」 「」 あれから本当に引っ張りまわされて水族館にカラオケにショッピング……他にもいろいろ回ってた気がするけど、あまりに忙しなくてここ数日の記憶ごと飛びそうだった。 女性の買い物の荷物を車から降ろし両手が塞がってしまっていると、女性は残りの荷物を全て片手で持ってビルのキーボードの前に向かっていった。 僕が慌てて追いかけると、僕が近づけたのを確認してから部屋番号を押した。 「315……。」 「最高!!ってね。」 「へぇ……。」 僕は、突っ込む気力もないまま女性の後をついていくしかなかった。 部屋に到着すると、女性はカードを手にとって、扉にかざした。 すると、ピピッと音が鳴って鍵が開く音がした。 「スゲ……。」 思わず感嘆の声が漏れた。 女性は少し誇らしそうに僕に微笑むと、扉を開けた。 扉の奥からは光が漏れた。 「どうぞ~。」 「え?」 「ほら、先入って!!そっちの方が重いでしょ?」 そんなこと言われてもどのこの人かもわからない人の家に……しかも女性の部屋に入るのはさすがに躊躇する。 「いや、でも「さぁさぁ!!」ッちょ……えぇ……。」 そう言って女性は僕の腕を引っ張って部屋に押し込んでしまった。 仕方なく玄関を上がると、僕の家との比較になるが広い玄関と長い廊下その先に一つの扉がある。とはいっても玄関しか電気が付いていないし、ほとんどそれ以上の情報は入ってこないけど……。 「ちょっと待ってね、電気つけるから。」 女性はスマホを取り出すと、軽く操作をした。 その直後にありとあらゆる電気が一気に点灯した。 いや、どれだけ金持ちなんだこの女性ひと……。 「意外とハイテクで驚いた?」 「まぁ……。」 「ここの大家がセキュリティ大好きでさ~、ここの部屋の鍵から電気まで私以外は操作できないのよ。面倒くさいったらないよね~。」 マジですか……? それって本当に誘拐するための部屋なんじゃ……。 そこまで思考が及んだけど背筋がぞわっと冷えあがって考えるのをやめた。 女性は固まる僕の横をすり抜けてさっさと奥の部屋に入っていった。 とりあえず女性の後を追って、部屋に入ると、手前にはキッチンが完備されている大きなリビングが広がっていた。 アパート暮らしの僕にとってはおとぎ話の世界だった。 「リビングの奥の鏡貼ってあるところが君の部屋で~、廊下通ってくるときに合った部屋が、私の部屋だから覗き禁止ね。」 「覗きませんよ。」 「あ、これ合いカギと操作キーのスペアね!無くさないでよ?」 「え……。」
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