知らなかった世界

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僕の世界は暗い ちょっとジメジメした空気と、モノが腐る臭いが鼻を刺す 何処からか吹き込む風は冷たくて、じっとしていると僕の体温をどんどん奪っていく そんな冷たい風が吹く度に、僕は体を丸めてやり過す ここが僕の居場所 生まれた時からずっとここにいる ここ以外の場所は知らないし、知る必要もない 空腹に堪えられなくなると紛れ込む虫やら、僕よりも小さな生き物を捕って食べて寝る そんな毎日だ 記憶の中では僕の周りには仲間らしい気配もあった、と思うがそれは正直ハッキリしない もしかしたら僕の願望が、そんな記憶を捏造したのかもしれない 別に仲間がほしい訳ではなく、退屈が凌げるんじゃないか、と思うだけ 今日もどこからか転がってきた紙くずや枯れた葉っぱをかき集めた布団で丸くなる そんな毎日が続くんだ、と疑いもしなかった あの時までは・・・・・・
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