第01章 『夢月れいかは邂逅する』

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 となりに座っている妹が一際大きな声で嗚咽を漏らすと、それに呼応して参列者の皆様もそこらかしこで声を押し殺して泣いた。  私はこの居たたまれない空気に、ため息をつきそうになるのをこらえるので精いっぱいだった。 事の発端は十七年前、私が生まれた時に始まった。  科学技術が進歩した現代では、人間の寿命を一分一秒まで正確に計測することができる。  その技術が確立した当初は、寿命を本人に告知することは医師の裁量に委ねられていた。  しかしそのうち、病院側が馬鹿高い報酬と引き換えに寿命の告知を行ったり、格安で寿命を教えてやるといい、嘘の寿命を教えて金銭を騙し取ったりする詐欺などが横行し、それらを重く見た政府によって、『寿命告知義務』という法律が定められた。
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