第01章 『夢月れいかは邂逅する』

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 一階からチャイムの音がして、お母さんが応対しているのがわかった。  それから少しして、コンコンと部屋の扉がノックされると、扉越しに妹の声が聞こえてきた。 「お姉ちゃん、お客さんだよ」     ◇  ◇  ◇  玄関へ行くと、見慣れない一人の綺麗な女性が立っていた。  清潔な白いシャツの上から黒いスーツに袖を通し、ストレートの黒髪は肩口で短くカットされている。  右側でピッチリわけられた前髪は、目立たないように黒いピンで留められていた。  彼女は、二階から降りてきた私の姿を目視すると、居住まいを正すようにそっと足先を揃えた。  じゃりっと音が鳴った彼女の足には、黒いスニーカーが履かれている。 「夢月(むつき)れいかさんですね、はじめまして。この度、夢月れいかさんの担当をさせていただく、『安息科』の鈴寧理亜(すずねいりあ)と申します」 「安息科?」 「はい。寿命をお迎えになる一週間前になりましたので、その間に思い残すことがないよう、可能な限りサポートさせていただくのが私の仕事です。それで、夢月れいかさんの場合ですと――」
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