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東京の有名大学に行けるほどの学力はなかったが、地方の大学にはなんとか進学できた。それでも一般からみれば難関校だった。 高校は関西で、関東より関西の大学に進学するほうに高い価値観を置く変わった校風の学校だった。進学校だったのでくだらないイジメなどはなく、とにかく勉強さえ出来ていれば教師も何も言わなかった。 今までずっと母のひいてくれたレールの上を走っていたが、進路を決めるころから自分の力を試したくなった。名前負けしないように、母のように賢い人間になりたかった。 人の目を避けるように生きてきたので人見知りな僕は、それを克服しようと思いサークルに入ろうと思った。本当は文系に進学したかったが、今の時代それでは就職できないと母に言われ、無理して理系に来たのでせめてサークルだけは自分の好きな所に入ろうと思った。たくさんもらったチラシを見ながらどこにしようか悩む。なるべく派手すぎない所からリハビリ感覚で参加してみよう。 スポーツ系は華やかそうだったが僕は静かに研究するのが好きだったので日本史研究の地味なサークルに顔を出してみた。
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