93人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
走って追いかけ続けたらいつの間にか自分のアパート近くまで来ていた。ひと駅分くらいは移動した気がする。
「・・・返し、て・・・よ」
運動が苦手な僕は肩で息をしていた。
「体力ないなー」
逆に志音は平気な顔をしている。
「まだ早い時間だしさ、部屋で飲もうぜ」
そう言って彼のアパートらしい所を指差した。
この辺は学生用の家賃が安いアパートがたくさんある。僕の住んでいる所もここから近い。
「とりあえず、水・・・」
全力で走ったからヘトヘトになってしまっていったん思考が止まった。足もがくがくしている。
志音が近くの自販機で水を買って僕に渡してくれた。半分くらい一気に飲む。
「・・・ありがと」
「ほんと体力ないなあ」
膝に手をついてまだ呼吸が整わない僕を呆れてみている。
「とりあえず俺んちで休憩してきな」
女の子をナンパするようにさらっと言われた。全力で走ったせいかうまく思考回路が動かない。
さっき飲もうとか言ってなかった?
お酒なんか飲んだことがないが水を奢ってくれた弱みがある。
僕が住んでいる所も近いしすぐ帰ればいいと思ってついていった。
最初のコメントを投稿しよう!