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彼の部屋は1Kで僕の家と間取りはそんなに変わらない、いかにも大学生の部屋。ただ飲み終わったビール缶が散乱して、見たこともない酒瓶がたくさんあった。
部屋の汚さを指摘したらいいのか、未成年なのにお酒を飲んでることを注意したらいいのか。
「適当に座ってのび太くん」
「適当に座るスペースがないんだけど・・・」
僕のクレームを無視して冷蔵庫を漁っている。
「ほい」
ビールを渡された。銀色の缶。
「・・・飲んだことないんだけど」
「飲むことができたらメガネ返してやる」
別になくても生活に不便はないけれど、伊達とはいえけっこう高かったので手放すのは惜しかった。
そんな事より聞きたいことがある。
「なんで、僕の名字を知ってるの?」
上目遣いで志音を見ると、彼はにやにやしている。
「半分でも飲めたら教えてやる」
そう言われて僕は思い切ってプルタブを開けた。
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