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罪
僕が小さい頃、父が交通事故で人を殺してしまった。
母はすぐ離婚した。殺人を犯してしまった父は正確な判断ができなかったのか特に揉めることなく応じた。そして母は姓を旧姓に戻した。父と同じでは家族を特定されやすく社会的に迫害されるという判断だったらしい。
僕は佐藤から黒川に名字が変わり、何度か引っ越して学校も変わった。これで近所の目から逃げることができ、余計な神経を使うことはなくなった。家族に後ろめたい思いをさせたくない一心で母はあらゆる事をした。親戚から絶縁されても気にせず毅然としていた。強靭な神経の持ち主だった。
ネットでは僕の父や家族を特定されたが社会を騒然とさせた事件でもなくすぐ忘れられた。
「賢く育つように」と親は僕に「賢」(けん)と名付けた。実際は母が賢くて
僕はその遺伝子の一部も遺伝していない気がする。
数年後に父は交通刑務所から出てきてすぐ自殺した。
生命保険金は名義を変えていなかった母に払われた。
僕が高校生の頃だった。
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