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志音は指を抜いて自分自身を突っ込んできた。 「・・・!」 激痛に僕は声にならない悲鳴をあげた。 「やだ・・・!やめてっ・・・・!」 「お前が犯されたって知ったらお母さんどう思うだろうな」 容赦なく動く志音に抵抗したいのに動けない。 「俺が復讐したいのはお前の母親だよ。うまく立ち回りやがって」 また一口、テキーラを口移しされた。 「ん・・・」 痛みが麻痺して開かされた足を閉じる力もない。 志音の指が僕の前髪をなでて顔をさらけ出した。 「つらそうな顔してると思ったらなにその顔。感じてんの?」 どんな顔をしているんだろう。わからない。 「つまんねえの」 思っていたよりつらそうに見えなかったのか志音は僕から抜いて鏡を持ってきて顔を写してきた。 「こんな表情の奴を犯してもおもしろくない」 そこには涙目で、口を少し開けて高揚している僕がいた。 恥ずかしくて目をぎゅっと閉じた。 「よく見ろよ」 髪を強引につかまれて無理やり鏡を見せられた。 「男に犯されて喜んでる男の顔だ」 違う。 違うんだ。僕がこんな顔をしているのは。 僕が一目惚れしてしまった人は、僕の父に親を殺された人のこども。 君のことだよ。 口に出してはとても言えないけれど。 体が求めてしまうんだ・・・。
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