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学生
志音のベットで目が覚めた。
身体はきれいで服も着せられてあった。となりに裸の志音が僕を抱くように眠っている。
今回は途中から記憶がない。何か口論して強引に部屋に連れ込まれてそこからおぼえていないし体が痛い。
状況から見てまた抱かれたんだろうな。
それしか考えられないし何も着ていない志音がそれを証明している。
「・・・起きた?」
寝ていると思っていた志音が目をつむったまま声をかけてきた。
「お前が泣きだしたから途中で萎えた」
「・・・」
僕が泣いた?全然記憶がない。
「帰るね」
志音の重い腕を持ち上げて身体を起こす。「送る」という言葉を振り切って痛む体をかばうように自分のアパートに逃げた。
鞄を放り投げてトイレに駆け込み吐けるだけ吐いた。水を飲んでまた吐くというのを何度か繰り返して少し楽になる。一体どれくらい飲んだ、いや飲まされたのかわからないが多分前と同じテキーラだろう。
いつまでこうやって嬲られるんだろう。
でもそんな扱いを受けるほど快感が増してしまう。優しくされるより過去の事をなじられ乱暴にされるともっと欲しくなる。思い出すだけでも体が熱い。
母に事情を話して大学を変わろうかと思ったがそんな事をしたら志音がただでは済まない。
なにより会えなくなるのは寂しかった。
好きになってはいけない人を好きになってしまった。
彼の性処理係になってでも側にいることが出来るのなら、この感情を押し殺して一緒にいたい。そんな事を考えてしまうほど僕の精神は限界だった。
女の子としたこともないのにこのまま志音のモノになるのか。
考えていても仕方がないので明日提出のレポートだけなんとか仕上げる。僕が眠っている間に勝手に番号を登録した志音からLINEが来ていてひとこと「ごめん」と書いてあった。
なんて返信していいか、気の利いた言葉が浮かばなかったので既読無視して朝まで眠った。
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