逃げている人だって走っている

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桃季さんは、カイの頭を優しく撫でる。 「カイはかわいい」「そして、めっちゃ賢い」「猫のタンゴも懐いた」「俺に発想が似ている」「てゆうか顔が似てる」「姐さん、見たまえ」 桃季さんは勝手にカイを抱き上げた。 「ほら!見たまえ! 俺たちってソックリ親子じゃないか!」 「…(ほんとだ。何故かそっくり…)」 別れた彼氏より、赤の他人の桃季さんに似ている。 「あなたは、本当に受精卵から細胞分裂させたのか?」 「はあ?」 「男の精子じゃなくて、俺の胞子が飛んで受胎し、この子になったのでは…」 「な、なんですって!?」 激昂している私を尻目に桃李さんは猫撫で声のまま、カイの前にしゃがみこむ。 「さ~あ、カイくん、連絡先教えて~。お父様と送受信しよっか♪」 「こ、子供をナンパしないでください!」 「はい、送受信♪」 「聞いてますかあああ!?」 「カイ。今日から俺が君のお父さんだよ♪」 「わ~い♪」 「…」 (そんなバカな…)
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