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「しかしながら、靴ひものない靴は世の中にたくさんあります」
カイは真剣な顔で棒読みをする。
「靴ひものない靴を選ぶ人生があっても良いではないでしょうか」
まさかの得意技、開き直りだ。
(うわ)
私はたじろぐ。
(出たよ、カイの思考回路)
「そうだな」
それに対して、桃季さんの答え。
「靴が選べなくとも、周囲のひとは選べる人生を送るべきだ」
(でたー!桃李さんも得意の開き直りだ!)
「チョウチョ結びができる恋人や友人がいれば問題ないだろう」
「はあ?」
私は思わず聞き返した。
「チョウチョ結びの練習をしてくださいと、保育園は言ってるんだよ!?」
(保育園という常識的な組織は、素晴らしき日本国民を量産すべき、日夜努力を重ねていらっしゃるのだよ!)
「「うん。知ってる」」
「カイ!桃季さん!(知ってるなら!従ってくれ!じゃないと保護者である私が怒られるんだよ!)」
「でも、チョウチョ結びのできる彼女がいたら、彼女にチョウチョ結びをしてもらって。
かわりに彼女ができないことをたくさんしてあげる人生も素敵です」
カイは嬉しそうに言った。
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