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外は人通りが多く、
皆が雪にはしゃいでいた。
「ねえ、ママ。昨日ね、まーちゃんがね、動いたんだよ。」
沙良の背後で、小さな女の子の声がした。
どうやらお母さんと話しているようだった。
「ええー?まーちゃんが?」
「そう!まーちゃんが!」
面白がるような母親の口調とは反して、女の子の口調は真剣だった。
まーちゃんとは一体なんだろうか。
沙良は、まるで謎謎でも出された気分だった。
普段は動かない生き物ーーー?
「まーちゃんが、どうやって動いたっていうのよ?」
「わたしね、まーちゃんとおどったの!こうやってね、こうやって、、、」
背後でばたばたと足を踏み鳴らす音がする。
「ーーーーあっ!」
グシャッ、と雪のつぶれる音がして、お母さんが「あぶない!!」と大きな声を出す。
どうやら転んでしまったようだ。
「もう!大丈夫?まーちゃんも笑っちゃうよ。」
「まーちゃんは笑わないよ。」
「そうね、まーちゃんは笑わないわね。」
「まーちゃんは笑わないけど、踊ってる時は楽しそうだったの。きっと、つくってもらえて嬉しかったんだと思うよ。」
「そうかもね。またみんなで作ろうね、ゆきだるま。」
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