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夢を見た。
真っ白い世界に、女の子が1人。
「ねえ、また私と遊んでくれる?」
鈴を鳴らしたような可愛い声で、彼女は尋ねる。
真っ白い肌に、真っ白い髪。
真っ白いワンピース。
瞳だけは宝石のように輝く桃色だった。
「もちろんだよ。」
沙良が答えると、桃色の瞳を嬉しそうに細めた。
「でもね、きっと私のこと、忘れちゃうよ。
ねえ、忘れちゃうでしょ。みんなそうだもの。」
「そんなことないよ。」
「大人になるとみんな、無かったことにしちゃう。私のこと、いなかったことにしちゃうの。」
彼女の言葉の意味が分からず、沙良は首を傾げる。
「ーーーふふっ」
その様子を見て、女の子は笑った。
「でもね、もう慣れちゃった。いいのよ、サラが私と約束してくれただけで嬉しいから。」
「忘れないってば!」
意地になって返しても、彼女は信じてもいなさそうだった。
それでも変わらず嬉しそうに笑っていた。
「じゃあね、一つ、憶えてて?
私の名前はーーーー
ユラ。
いつでも、会いにきてね。」
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