夢にした昨日

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「サラ?」 リン、と鈴を鳴らしたような 軽く優しく、響くような声。 背後から聞こえたその声に、沙良は憶えがある。 「ーーーユラ?」 目を開けて、上半身だけで振り返る。 足音も立てずにそこに立っていたのは、 幻かと疑うほど、白く儚い女の子。 「サラでしょ?」 彼女が小首を傾げると、真っ白い髪の毛がふわりと揺れた。 「ーーー綺麗な色‥」 沙良が思わず呟くと、女の子は宝石のような桃色の瞳を細める。 「サラは前も、同じこと言ってた。」 彼女はそう言って、ぴょん、と近づいてきた。 「久しぶり、サラ。 思い出してくれてありがとう。」 ユラは両手を広げて、沙良に抱きついた。 絹のような髪の毛が、沙良の頬をくすぐる。 ーーーああ、ユラだ。どうして忘れていたんだろう。 ユラの温もりが、過去を鮮明に思い出させた。 幼い頃、うさぎのような女の子と遊んだこと。 その子がユラであったこと。 あの日もユラは、最後に沙良を抱きしめたのだった。 沙良がぎゅっと抱きしめかえすと、 ユラは嬉しそうに笑った。
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