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ドリンクを抱えフロアに戻ると、同僚たちが二人の戻りを待っていた。集まったのは総勢三十人ほど。よく見ると他部署の人間も混じっている。
「筧さーん! こっち来ませんか? 花火、よく見えますよ」
永瀬に声を掛けられ「ああ」と返事をした。三井や森田もいたので、誘われるままそちらに足を向けると君島もそれに続いた。
「筧さん、これ食べません?」
「筧さん。飲み物足りてますか?」
なぜだか分からないが、今夜は事務の女の子たちに代わる代わる話し掛けられた。
普段、こういう場に顔を出さない自分に変に気を使わせているのだとしたらかなり申し訳ない。そんなことを思い、タイミングを見計らってトイレに行くフリをしながら一階下の給湯室に逃げ込んだ。
窓越しに見える花火を一人ぼんやりと眺めていると、背後に人の気配を感じた。
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